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Friday, April 20, 2018

避難海域の必要性について 世界的な認識を行う時

INTERTANKO(国際独立タンカー船主協会)とBIMCO(バルチック国際海事協議会)は、タンカー、プレスティージ号の沈没、およびこの非常に不幸な事故により環境的、社会的、経済的影響が及んでいることに対して遺憾の念を禁じ得ません。

INTERTANKOBIMCOは、プレスティージ号の過去の記録をすべて提出するというABSとバハマ海事局の声明に対して歓迎の意を表します。INTERTANKOBIMCOは、すべての大規模な海上事故の調査を徹底的に行い、結果を公表することで、今後の教訓とすることができるものとの信念を抱いています。さらに、乗組員全員の救出を行ったスペイン救出機関に対しては、バハマ海事局と同様、感謝の意を表します。

今回の事故により、沿岸諸国が船舶の受け入れに対して相変わらず消極的であることに対する海運業界の懸念が浮き彫りになりました。遭難状態にある船が避難海域を提供してもらえない場合、深刻な事故につながる可能性が増大し、乗組員が危険にさらされることになります。さらに、カーゴの緊急移動や遭難船舶に対するその他支援対策が取られないことで、環境へのリスクが増大することになります。

よって、INTERTANKOBIMCOは今一度、全沿岸諸国に向けて、避難海域配備計画を立案し、各国政府に適切な海域//停泊地の指定を要求することの重要性を強調する次第です。国際海事機構(IMO)と欧州連合は、このニーズへの取り組みに全力を挙げており、IMOの事務総長は緊急に対応を行うべき課題であることを強調し、IMOでは既に積極的な検討を行っていると語っています。

INTERTANKOBIMCOは、世界を代表する海運業者協会として、役に立つ限り、また可能な限りの広い範囲で事後分析に協力する方針です。さらに、事故原因の調査から策定される対応措置を素早く効果的に実行に移すことを推奨していく方針です。INTERTANKOBIMCOは、プレスティージ号の船主メア・シッピング・インクと事業主ユニバース・マリタイム・リミテッドがすべての関係機関と協力を行い、事故調査への全面参加を約束していることと理解しています。

INTERTANKOBIMCOは、海運業界に必要なのは新しい条約ではなく、既存条約の遵守を徹底させることという欧州委員会の所見に対して特に注目を寄せています。

さらに、INTERTANKOBIMCOは、汚染による損害を被ることになるすべての人々に対して国際補償スキーム(すなわちCLC92と基金92)を適用すべきという点についても注目に値するものと考えています。

避難海域  補足情報

概要

遭難状態にある船舶は、停泊地もしくは港への避難を求めたときに拒否されることが往々にしてあります。INTERTANKOは、必要なときに船舶に素早く避難海域を提供できるよう、的確な計画の立案を奨励してきました。

見直し

キャスター号、エリカ号、プレスティージ号のケースやその他数々の船舶事故から注目を浴びている課題の一つに、遭難状態にある船舶の取扱いがあります。港は港内の汚染の危険性、そしてそれに続く混乱、営業収入の損失を恐れて船舶の受け入れに消極的です。しかし、船舶を海に送り出すことは事故の可能性を増大させ、ひいては港が受け入れを行うことで回避することができた、より大規模な環境破壊を招くことにもなりかねません。

最近の事故の結果、広範囲の変更がなされているものの、事故の可能性を完全に取り除くことはできず、港やその他の公共機関は時によってこのようなジレンマに直面することになります。主要航海ルートの沿岸線で事故の起こった船舶を受け入れる指定港や停泊地があれば、このジレンマも軽減できるはずです。これらの港や停泊地は、損傷を負った船舶が安全に寄港するのに十分な深さがあること、および、卓越風と大波からの避難と同時に、別の船舶もしくは沿岸倉庫に素早く統制の取れた方法でカーゴを移動できることを基準に選定を行う必要があります。港または停泊地の近隣には、目的に適したタグボートやその他の機器と資源を配備して、移動作業をやりやすくする必要があります。また、不測事態に対応するための適切な対策と油汚染の回収除去装置を配備し、小規模な油濁が発生した場合に効率的に対応できるようにすることも重要です。

このような計画を市場の力だけで実現させることは不可能です。実際には、政府が港/停泊地を指定することが必要になります。同様に、港/停泊地の選定にともなう政治的な問題も過小評価することはできず、政府が周辺地域の公共機関に対して何らかの保障を行うことが必要になると思われます。

この計画を実現するには、非常な困難がつきまといます。しかし、エリカ号の遭難事故で発生したような大規模な油流出を回避できることを考えた場合、この計画実現がもたらすメリットは絶大です。

避難海域の提供は、海上交通のモニター・統轄・情報システムに関する欧州連合指令に組み込まれています。IMOでも、この問題への取り組みで大きな進歩を挙げています。

INTERTANKOの位置付け

INTERTANKOでは、かねてから沿岸部の国と地域による避難海域配備計画の重要性を訴えてきました。このためINTERTANKOは、遭難状態にある船舶に状況に応じて避難に適した港や避難海域を提供するための計画立案を加盟国に要求した欧州連合のモニター指令への支持を表明しています。さらにINTERTANKOは、船舶が支援を必要としている場合に船主、沿岸国、旗国が取るべき手段について明確な規定を行ったIMOのガイドラインについても支持を表明します。このガイドラインでは、必要な場合に沿岸国の海上援助サービス機関を動員することを推奨しています。このガイドラインは、各ケースにおいて政府がメリットを評価し、最適な決定を下せるような枠組みを提供することを目的に策定されたものです。

  2002年11月